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独ダイムラー社デザイナーチームによる、R・トルソ・C見学会が行われました。

東京モーターショー2015で日本を訪れていた独ダイムラー社のデザイナーチームがR・トルソ・Cを訪れました。

前に停まる車は、見学会で用意されたダイムラー社(メルセデス・ベンツ日本)のスマートカーです。訪問のあった翌日に、新しいスマートフォーツーが発表されました。

独ダイムラー社デザイナーチームは「コンパクトでスタイリッシュ」を共通のテーマに、天工人が携わる都心の住宅のデザインに興味を抱いていました。

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「R・トルソ・C」でテレビの撮影が行われました。

テレビ朝日の長寿番組 「渡辺篤史の建もの探訪」 から R・トルソ・C の番組出演依頼がきました。

個別大臣認定を取得し、火砕流堆積物(シラス)を使用した日本で最初の建築物である R・トルソ・C 。クライエントのご厚意で、取材を受けて頂けることになりました。

高強度、調質・消臭効果、自然保護の観点、100%リサイクルが可能などあらゆる面で魅力的な環境型シラスコンクリートの認知度を上げるきっかけになりそうです。

設計者の山下保博が出張で不在だったため、副社長の水上健二が取材に立ち会いました。渡辺篤史さんはテレビで拝見する以上に素敵で、とても気さくなお人柄だったそうです。リハ無しでサラッと収録を終え颯爽と帰られたという、さすがのプロフェッショナリズム。朝9時から夕方までを予定していた取材はスムーズに進み、昼過ぎには終了しました。

放送は年明け1月16日(土)朝5:00~を予定しています。

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シラスコンクリート/乾燥収縮試験

コンクリートの耐久性を示す指標の一つに乾燥収縮があります。様々な要因からコンクリートにはひび割れが発生するのですが、その一つが乾燥収縮です。この乾燥収縮の要因にも様々あるのですが、使用材料やコンクリート配合に起因するものであれば、予め試験をすることで、どの程度収縮するのかを捉えておく事が可能です。

試験方法としては、7日間の水中養生をしたテストピースを標準養生をして1週間毎に収縮量を測定します。今回はダイヤルゲージ法です。

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高炉B種セメントを資料した今回のシラスコンクリートは、乾燥収縮が大きいと予測されていたのですが、途中経過では極めて小さいという結果が得られています。細骨材や粗骨材の材料にも起因していると思われますが、様々なコンクリートとの比較をしていけば、その理由も明らかになると思われます。

シラスコンクリート/中性化試験

今回開発しているシラスを細骨材として使用したコンクリートについて、原寸サイズの試験や、フレッシュ性状だけでは無く、様々な試験をする必要があります。その一つが中性化試験です。コンクリートの主成分はセメントなので内部はアルカリ性なのですが、空気中の二酸化炭素と反応して、表面から徐々に炭酸化していきます。コ ンクリートの中性化と呼ばれているのですが、この中性化が表面から内部の鉄筋に到達するまで深く進むと、鉄筋が腐食し、ひび割れなどが発生します。

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コンクリートのテストピースを気温20°、二酸化炭素濃度5%、湿度60%のチャンバーの中で保管します。大気中の二酸化炭素濃度が0.03%程度なので、二酸化炭素濃度がかなり高く、人工的に長期的な中性化深さを求めます。中性化深さを図るためには、小学校の理科で習ったフェノールフタレイン溶液を用います。

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上左の写真が、チャンバーの中から取り出してカットした状態、そこにフェノールフタレイン溶液をかけると、右の様に変色します。紫に変色している部分が、アルカリ性という事なので、中性化はほとんど進んでいない事が分かります。

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表面の変色せずにグレーのままの色の部分をノギスで計測し、その平均値が中性化深さになります。今回のシラスコンクリートは水セメント比も比較的小さく、シラスの微粒分が含まれているため密実なコンクリートとなっているので、良い試験結果が出ると予想しておりますが、何週間にも渡り、継続的に試験を行っていきます。

シラスコンクリート開発/試し練り

新しいシラスを細骨材として使用した高流動コンクリートの施工性が確認出来たので、脱型して確認をする前のタイミングだったのですが、いくつかの配合を計画しコンクリートのフレッシュ性状を確認する試し練り試験も行いました。シラスの量は変えずに、セメントをどのくらいの量を配合するかという水セメント比を3パターンで実験し、最終的なコンクリートの費用や強度性能などを比べるための試験です。
試験室にて、各材料を計測し、練混ぜ、フローなどの計測を行います。試し練りには構造設計の佐藤淳さん、施工のホームビルダー松岡さん、新しいコンクリート開発にご協力頂いている野口先生にも立ち会って頂き、最終的な配合をどうするかなど様々な視点から検討する試し練りとなりました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA     OLYMPUS DIGITAL CAMERA     OLYMPUS DIGITAL CAMERA     フレッシュ確認

シラスコンクリート開発/施工実験

新しいコンクリートを採用するに当たって、いくつものハードルが出てきます。
今回はそのハードルの一つ、シラスコンクリートによって現実的に構造物を施工ができるのか、をクリアするための実験をご紹介します。
今回開発するコンクリートは高流動コンクリートの一種に当たるのですが、これまで建築物に採用された実績が無いため、
市街地の現場では良く目にする過密配筋の構造体に、しっかりと充填されるのかというのが一つの課題でした。

鹿大の武若先生を始め、多くの関係者のご協力のもとで、K邸より少し配筋量を過密にした原寸大のモックアップを作成し打設実験を行いました。クライアントのK様も一緒に鹿児島まで確認に行き、火山灰が舞う天気の中、施工実験は無事に終わりました。

コンクリートの打設自体は成功した様に見えましたが、本当に成功したと判断できるのは、型枠を脱型し、強度その他の確認が取れてからです。強度試験の結果は目安となる試験が28日後になるので、その結果が届くのを待ちます。

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コンクリート開発/コラボレーション

近代建築を支えてきたコンクリートはこの100年の間でセメント+粗骨材+砕骨材+水という基本の構成材料は変わらないものの、最新の技術を リサーチすると、省CO2型、リサイクル型、超高強度高耐久型など色々な開発が進んでおり、それぞれの構成材料や、配合などの研究が行われ、実用化されているもの、いないもの様々です。今回のコンクリート開発のプロジェクトは「化学する」というキーワードであるため、専門としては、構造力学、構法というよりは材 料工学の分野です。そこで最新の情報をヒアリングするために、コンクリート工学の専門家に、どのような技術が実現可能性があるのかという事を、クライアン ト、構造設計者、施工会社も含めてヒアリングに伺いました。その1時間半ほどのヒアリングの中で様々なキーワードが出てくるのですが、漠然とこの方向が良 いのではないかという事が、その場で共有されていきます。その方向性が定まった段階で、どのようなメンバーが必要かという事も自ずと見えてきます。


ぼんやりとした方向性とメンバーが見えてきた所が、ようやくプロジェクトのスタートです。そこから現実化に向けて様々なハードルが待ち受けているのですが、それをコラボレーションの力で乗り越えていきます。

 

コンクリートという素材について

K邸最初のブログで書いたプレゼンテーションの最後に、クライアントから新たな要望が出ました。それは「山下さんにとって何か意味のあるプロジェクトにして欲しい」という内容でした。アトリエ・天工人ではこれまで素材や構法について様々なプロジェクトを立ちあげてきました。このK邸は元々あったプロジェクトにクライアントが賛同してくれたという流れでは無く、クライアントと共にプロジェクトを作るという所から始まり、それがどのような方向に進むのかも模索しながら基本設計は進んでいました。何回目かの打合せ時にクライアントがコンクリートの質感が好きであり、建築としてパンテオンが好きであることという事が分かりました。

そこから、コンクリートについて、何か新しいものを作るというプロジェクトの骨格が見え、クライアントの職業も化学に関連しているということもあったので、「コンクリートを化学する」というテーマが見出されました。100年以上前に発見された鉄筋コンクリートは技術として近代建築の発展を大いに支えましたが、現代においても材料としてのコンクリートは基本的には大きくは変わっていません。プレキャストやプレストレストなどは天工人でもこれまで設計してきましたが、「化学する」というキーワードの下で、素材としてのコンクリートを探求するプロジェクトとともに設計が進んでいます。

R・トルソ・C

基本設計の打合せが進み、実施設計に入るための打合せをしていました。その日はとても天気が良い日の午前中で、窓の開け方を中心に打合せをしていたのですが、突然山下が一言、「敷地も近いし、天気も良いので模型を持っていきましょうか!」
ということで、事務所からすぐの敷地に模型を持って、確認に行きました。

プレゼンテーション前にも当然敷地を読み込みますが、設計が進んでから着工前にクライアントと一緒に行くことはあまりありません。たまたま敷地が近かったことと、とても良い天気で、ついつい出かけたくなったことが要因です。

打合せが終わり、駅に向かう途中で、良い時間だったので、昼食を取ることにしました。そこで見つけたのが、魚の干物を扱う定食屋さんです。山下曰く「この現場には必ず午前中に来ることにして、毎回ここでお昼を食べよう」というくらい、おいしい魚を頂きました。

色々な現場に行きますが、近くでおいしいものが食べられるのも楽しみの一つです。

R・トルソ・C

プレゼンテーション後の基本設計では、多面体のボリュームをカットするというコンセプトに沿って、ボリュームのスタディを繰り返しました。クライアントは弊社設計のマグリッツを気に入っていたのですが、形としては同じく角地に建つチカニウマルコウブツに近いイメージです。光の入り方や、角地での存在感など、一つ一つの要素の大枠を、まずは1/100の模型で検討し、その中からいくつかの方向性について1/50の模型で詳細に検討を進めました。

R・トルソ・C

アトリエ・天工人では、初回のプレゼンテーションをする際に、いくつかの方法がありますが、今回のK邸では、2案を1/50の模型と図面でプレゼンテーションするという方法を取りました。その理由は、敷地の状況、クライアントの要望、イメージなど、色々な条件がありますが、大きな方向性をどちらにするかという計画を進めるに当たって一番大事な点を共有するためです。2案の方向性は、1:角地に建つという事で多面体ボリュームを配置し、それをカットするような窓の取り方という方向性、2:マッシブな四角いボリームを敷地に置き、丁寧に開口や断面を作り込んでいくという2つでした。結論としては、1の方向性になったので、基本設計の段階でさらにスタディを重ねていく事になります。